鐘崎職人 Craftsman
【座右の銘】急がば回れ
【最近の出来事】20年ぶりにゲームに熱中
一歩一歩確かめながら歩んできたかまぼこ人生
鳥山さんは入社から現在に至るまで、かまぼこの原料となるすり身づくりに携わっている。現代風の機械製造だけでなく、一から手作業で行う昔ながらの製法も学んできた。そんな彼のモットーは、どんな作業の中でも『確認を怠らないこと』だ。
「現在所属している『かまぼこ塾』では、生魚をさばいてすり身をつくります。作業は、まず魚の状態を確認することから始めます。魚の状態を理解しないと、その魚を一番に輝かせるかまぼこづくりはできないんですよ。」
魚の良し悪しを判断する感覚は、仕事を覚える中で一つずつ身に着けてきた。しかし、見習いだった新入社員時代は、その感覚をつかむ難しさに心が折れそうになったこともあるという。そんな彼を救ったのは、普段は厳しい先輩に言われた『絶対あきらめるなよ。』の一言だった。
「まさかあの厳しい先輩から言葉をかけてもらえるとは思わなくて…。その先輩から、よく大事だと言われていたのが『確認』でした。先輩を見習って、あらゆる業務をしっかり確認しながら進めていたら、自然とすり身づくりの感覚も身についてきました。それから数年後に、一人ですり身をつくることを任されたときは、本当に嬉しかったです。」
困難にぶつかってもあきらめず、ひとつひとつの仕事に対して地道に取り組み続けた鳥山さん。今では自分の担当以外の工程にも目を向け、全体の作業がスムーズに行えるように気を配っている。その真摯な仕事ぶりの中でも、特に周囲から信頼されているのがかまぼこの形をつくる『成型』の技術だ。
「細工かまぼこなど、型(かた)を使う際は、型にはめる前に『づけ包丁(※すり身専用の刃のない包丁)』ですり身をなめらかに整えてツヤを出します。逆に具材が入る揚げかまぼこは、手作り感がでるように、少し凸凹を残した形にします。最終的にどんな姿にしたいかをイメージして、最適な形に整えることが大切です。」
彼のこのひたむきな姿勢が、今日も美味しいかまぼこづくりを支えているのだ。
お客様へ向けて一言
「かまぼこ塾では、一つ一つの製品を丹精込めて手作りしております。大量生産ではなかなか難しい、細工を施した季節のかまぼこや、魚100%で作る平目/真鯛の笹かまぼこは、ぜひ一度味わっていただきたいです。製造工程の一部はご見学いただけますので、機会がありましたら、『鐘崎 総本店 笹かま館』まで足をお運びいただければ幸いです。」