鐘崎職人 Craftsman

大友英樹

【最近の出来事】
自宅で飼っている猫が自分になついてくれなくて困っている

職人に大切なのは感覚

大友さんの朝は早い。生魚と1対1で語り合うところから始まる。
素人目には、どの魚にも違いは見当たらない。だが、大友さんのフィルターを通すと、生魚はそれぞれ個性を持って見えてくる。魚それぞれの個性を活かすことで、つなぎとなる『でんぷん』や『卵白』を使用せず作りあげるのが、鐘崎自慢の生魚100%の笹かまぼこである。製造工程の中で、大友さんが特にこだわるのは、『脱水』と『成型』の工程だ。
『脱水』とは下ろした魚肉を水にさらした後、水気をしぼる工程のこと。
「脱水は、しぼり過ぎても、しぼりが弱くてもだめ。鐘崎自慢のぷっくら食感は、その強弱でだいぶ左右されるんです。」
すり身を笹の葉に形作る『成型』の工程についても、魚の種類に合わせた工夫がある。「たとえばマダイは槍のように細長く、ヒラメは葉っぱのように平たくしています。加熱した時の魚肉の縮み方が違うので、魚の種類や状態を見極めて、焼き上がりの状態を想像しながら作っていますね。」
 職人技で1枚1枚丁寧に焼き上げられる生魚100%の笹かまぼこは、光を浴びると美しく輝く至高の一品となる。進化し続ける鐘崎のかまぼこづくりに長年携わってきた大友さん。これまでの経験を振り返り、こう語る。
「現在の品質の笹かまぼこを作ることができるようになるまでは、長い道のりでしたね。29年前に入社した時は、当時の先輩から、まずはすり身を運ぶことだけに集中しなさいと言われ、何がなんだかわからず運んでいました。ですが、そういった一つ一つの工程の積み重ねで、すり身の状態や品質について知ることができ、現在まで感覚が研ぎ澄まされてきたように思います。かまぼこは奥が深い。真剣に取り組めば取り組むほど、楽しくなっていきますね」

ものづくりへの想い

かまぼこ塾で多くの種類のかまぼこを作っている大友さん。その中でも、最近特に力を入れているのが『仙台伊達巻』だ。お正月に食べるイメージがある伊達巻を、“仙台みやげの新定番”として広めるべく、かまぼこ塾の職人たちは1年を通して『仙台伊達巻』と向き合っている。
「伊達巻は『の』の字の形で良し悪しが決まるんですよ。元々、伊達巻は書物(巻物)の形を模して作られていて、学業成就の願いが込められているので、綺麗な『の』の字じゃないとだめなんです。」
 ヒラメ100%で作られる鐘崎の『仙台伊達巻』は、焼き上がりが特にふわっと柔らかいことが特徴だ。
「焼き上がりの状態を見て、すだれに置く場所や巻く時間を考慮しながら一番良いタイミングで仕上げています。素材にもこだわっていますので、ぜひ、私がつくった『仙台伊達巻』をたくさんの方に召し上がっていただきたいですね。」

個人インタビュー

  • 大友英樹 ~Hideki Otomo~

    大友英樹 『職人たちを率いて鐘崎に革命をもたらすエキスパート』
  • 沼田勝美 ~Katsumi Numata~

    沼田勝美 『鐘崎の伝統の技を現代につなげる司令塔』
  • 大槻翔吾 ~Syogo Otsuki~

    大槻翔吾 『未来を牽引するビジョナリーリーダー』
  • 佐伯勇介 ~Yusuke Saeki~

    佐伯勇介 『大漁旗の土台をつくる目利きの達人』