私たちの体の成分のうち、水が6割~7割をしめていることはよくご存知かもしれません。
では、体の固形成分の40%以上を占め、生命維持と美容に重要な役割を果たしているものは何でしょうか?
それがタンパク質です。
髪の毛や肌の状態だけでなく、ボディラインや体調など、幅広く関わっています。
この記事ではタンパク質の特徴や働き、重要性をわかりやすく説明します。
タンパク質の構造と役割
タンパク質は、300以上のアミノ酸が連なったビーズのようなものです。
アミノ酸は全部で20種類あり、そのうち9種類は「必須アミノ酸」とよばれ、体内で作ることができません。
そのため「必須アミノ酸」は、タンパク質を主とした食事から摂取する必要があります。
タンパク質を摂取するとアミノ酸に分解されて体に吸収され、体内で再びタンパク質になって様々な役割を果たします。
体内におけるタンパク質の具体的な役割は、以下の通りです。
体を構成する | 人間の体は水分を除いて約半分がタンパク質でできています。 (筋肉、皮膚、毛髪、爪、臓器、神経などの細胞組織の成分) 体の成長と維持にはタンパク質が不可欠です。 |
抗体になる | 抗体はウイルスや細菌などから体を守ります。 |
酵素になる | 体内の細胞で生じる化学反応に使われます。 |
ホルモンになる | 細胞や器官どうしのコミュニケーションを助けます。 |
pHを維持する | 血液や体液の酸・塩基の濃度を調節します。 |
輸送タンパク質になる | 血液を通して酸素や栄養素を運ぶのに使われます。 |
このように、タンパク質は筋肉を作るだけでなく、生命の維持において様々な役割を果たしています。
そして、タンパク質は美容や健康に大きく関わっているのです。
タンパク質が不足するとどうなるか?
タンパク質不足は、以下のような症状の原因になってしまいます。
・太りやすくなる
・疲れやすくなる
・肌質や髪質が低下する
・肩こりや腰痛になる
・体調を崩しやすくなる
・不妊の原因になる
上記の内容を順に解説していきます。
太りやすくなる
タンパク質が不足すると筋肉量が減り、基礎代謝が落ちるため、太りやすい体質になります。
筋肉を動かしたり、維持したりするために大きなエネルギーが消費されます。
筋肉量が少ないと消費できるエネルギーが少なくなり、余ったエネルギーは脂肪へと変換されます。
運動と組み合わせることでさらに効果的。
タンパク質不足にならないよう意識して摂っていきましょう。
疲れやすくなる
筋肉量が減ることで筋力が低下します。
筋力が低下すると普段の生活で負荷を感じやすくなるため、疲れやすい体になります。
疲れやすくなるのは、精神安定や集中力向上に役立つ神経伝達物質である「セロトニン」や「ドーパミン」の量が減ってしまうことも理由です。
神経伝達物質はタンパク質で作られているからです。
また、タンパク質の量が足りないと、睡眠導入の働きを持つ「グリシン」というアミノ酸が不足するため、睡眠の質が下がります。
タンパク質をしっかり摂ることで、普段の生活が楽になったり、睡眠の質が向上したりすることから、疲れにくい体にしていくことができます。
肌質や髪質が低下する
肌の弾力や潤いには「コラーゲン」という物質が関わっており、コラーゲンはタンパク質からできています。
タンパク質が不足すると十分なコラーゲンが作られないため、肌のたるみ・くすみが生じます。
また、髪の毛は「ケラチン」というタンパク質でできています。
タンパク質が不足するとケラチンが足りなくなり、髪のツヤが失われたり、薄毛の原因になったりします。
さらに、タンパク質不足は白髪の原因になることもあります。
髪の毛の黒色は「チロシン」という色素によるものですが、チロシンの原料もタンパク質です。
チロシンが足りないと白髪になりやすくなります。
質の高い髪の毛や肌には十分なタンパク質が必要なのです。
肩こりや腰痛になる
筋肉量の減少で筋力が低下すると、姿勢の維持が難しくなっていきます。
姿勢が悪くなることで血行が悪くなり、肩こりや腰痛が引き起こされます。
肩こりや腰痛に悩まされている方は、無理のない程度の運動をおこなうとともに、タンパク質が足りているかチェックしてみましょう。
体調を崩しやすくなる(免疫力低下)
ウイルスや細菌などから身体を守る役目を持つ抗体は、免疫細胞からできています。
免疫細胞はアミノ酸から作られているため、タンパク質が不足すると十分な免疫細胞が作られません。
抗体の原料となる免疫細胞が不足するため病気にかかりやすい体になってしまいます。
また、免疫細胞は粘膜や皮膚の働きに関わっています。
タンパク質が不足すると粘膜や皮膚が弱まり、インフルエンザや風邪などのウイルスが体に侵入しやすくなります。
病気にかかりやすい方はタンパク質を意識して摂ってみるとよいでしょう。
不妊の原因になる
妊娠に必要な酵素やホルモンの原料は、タンパク質です。
必要な酵素やホルモンが不足すると不妊の原因になります。
また、卵子の質が低下してしまうのも不妊の原因の一つです。
質の高い卵子を作るのには十分なエネルギーが必要で、タンパク質不足はエネルギー不足につながるからです。
体の各細胞には「ミトコンドリア」と呼ばれる小器官が存在していて、ミトコンドリアでエネルギーが作られています。
ミトコンドリアの働きには十分なアミノ酸が必要ですが、タンパク質が不足するとアミノ酸が足りなくなり、ミトコンドリアの働きが低下します。
そのため、十分なエネルギーが得られないおそれがあります。
必要なタンパク質の量は?
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、
30代から40代の女性が一日に必要とするタンパク質量はおおよそ「体重×0.95g」と定められています。
女性の平均体重を54㎏とすると一日に必要なタンパク質摂取量は「54 × 0.95g = 51.3g」になります。
つまり体重(㎏)とほぼ同じグラム数のタンパク質が必要ということです。
妊婦の場合は約「体重×1.5g」のタンパク質が必要になるため、「54 × 1.5g = 81g」です。
100gの鶏胸肉のタンパク質量がだいたい20gのため、一般女性の場合は250gの鶏胸肉、妊娠女性の場合は400gの鶏胸肉が必要な計算になります。
なかなかの量ですね。
これだけのタンパク質を摂れている女性は少ないのではないでしょうか。
なぜこれだけのタンパク質が必要なのか?
内臓、骨、筋肉、髪の毛、免疫など、私たちの体のすべてにタンパク質が大きく関わっています。
体の古いタンパク質は壊されて毎日新しいタンパク質に作り変えられているため、多くのタンパク質が必要なのです。
また、タンパク質の使い道は「生命の維持」と「美容」に大きく分かれます。
当然、タンパク質の使い道は生命の維持が優先です。
摂取しているタンパク質量が少ないと、美容に使えるタンパク質が足りなくなります。
美しさを維持するためにタンパク質は必要不可欠なのです。
基本的には、食事から摂り、さらに不足する分は栄養補助食品などを活用しましょう。
特に、持ち運びが簡単で場所を選ばない、プロテインバー等を活用するとよいでしょう。
例えば、プロテインバー『10BAR』
魚と大豆のダブルでのタンパク質配合で、新感覚のプロテインバーです。
子どものタンパク質不足に注意
お子さまにも、十分なタンパク質が必要です。
タンパク質は「成長ホルモン」の原料にもなっています。
成長ホルモンの役割は以下の通りです。
・身長を伸ばす
・記憶力向上
・免疫力向上
・筋肉量の増加
・性的機能の強化
・骨の成長
子供は大人とは比較にならないほど体が成長します。
体を作っているのはタンパク質であるため、子供の成長に直結するのは当然です。
従来の日本人の食生活だとお米などの炭水化物中心で、タンパク質が不足しがちであるため、魚や肉などのタンパク質を意識して料理に加えるとよいでしょう。
しかし、近年日本の食卓が欧米化している影響から、子供のタンパク質の摂取量は増加傾向にあります。
最近は、日本人アスリートの海外進出がめざましいですよね。
食生活の欧米化によって日本人の体格が大きくなりつつあることからも、その要因と考える専門家もいます。
なお、タンパク質を多く含む食材について、こちらの記事で紹介していますので、ご覧ください。
まとめ
タンパク質の特徴と働きをまとめると以下の通りです。
・タンパク質はたくさんのアミノ酸から構成されている。
・体で作れない必須アミノ酸は食事から摂取する必要がある。
・タンパク質は美容や健康に大きく関わっている。
・体内では毎日タンパク質が作り変えられている。
・子どもの食事はタンパク質が不足しないように注意する。
一般女性が一日に必要なタンパク質は「体重×1g」、妊婦の場合は「体重×1.5g」になります。
これを目安にしましょう。
最近は、美容のためにプロテイン等の栄養補助食品を摂る方が増えています。
普段の食事から十分なタンパク質を摂るのが難しい場合は、プロテイン等で補うのがおすすめです。
コメント
コメント一覧 (1件)
[…] タンパク質の大切な働きについて(短文)https://www.kanezaki.co.jp/magazine/protein-work/ […]