私たちの体にとって非常に大切な栄養素であるタンパク質を、いつどのように摂るかで吸収率に差が出ることをご存じですか?
せっかく摂取しても、効率よく消化・吸収できなければ活用されず、残念なことですよね。
この記事では、タンパク質の吸収率を上げるための秘訣についてご紹介します。
効果的に吸収できるタイミングなど、解説しているのでぜひ最後までお読みください。
栄養の吸収率とは
食事で摂取した栄養素の量を100%とした場合、そのうちどのくらい体内に吸収されるかを吸収率といいます。
吸収されなかった栄養素は、便として排出されてしまうのです。
それでは、口から摂取した食物はどのように体内に吸収されるのでしょうか?
まず口から摂取した食物は、食道を通り胃に送られ消化酵素により体に吸収されやすい形に変えられます。
この働きを消化と言います。
吸収しやすい形に変えられた食物は胃から小腸に送られ、小腸の内壁にある絨毛(柔毛)で大部分が吸収されます。
小腸で吸収された物は、血液中に取り込まれ全身に運ばれエネルギーや生命維持に使われます。
このように消化・吸収を経て全身に送られて初めて栄養分として利用されるのです。
次に、タンパク質の吸収率を動物性タンパク質と植物性タンパク質に分けて紹介しましょう。
・ 動物性タンパク質:肉や魚、卵などの動物性食品に含まれているタンパク質
・ 植物性タンパク質:大豆や大豆製品など植物性食品に含まれているタンパク質
動物性タンパク質の吸収率
動物性タンパク質の吸収率は、90%以上で高いことが特徴です。
また、吸収スピードも速く、速やかにタンパク質を消化・吸収したいときに有効です。
しかし、動物性タンパク質を多く含む食品には高脂肪の食品が多く、食べ過ぎると肥満や動脈硬化など成人病の原因になることもあるので注意が必要です。
植物性タンパク質の吸収率
植物性タンパク質の吸収率は、70~80%で動物性タンパク質より多少劣ります。
しかし、動物性タンパク質だけでなく植物性タンパク質もバランスよく摂取する必要があります。
なぜなら、タンパク質はアミノ酸に分解されて吸収されますが、このアミノ酸のバランスが吸収率を上げるために重要なのです。
いろいろな食品を食べることでアミノ酸バランスがよくなり吸収率も上がります。
さらに、植物性タンパク質を含む食品は、ビタミンや食物繊維など他の栄養素もバランスよく含んでいるものが多く、また脂肪が少ないためカロリーも低く健康的な食品が多いのです。
タンパク質の吸収率を上げる5つの方法
摂取したタンパク質は、できるだけ効率よく消化・吸収できるとよいですよね。
健康維持や体を作るために、タンパク質の吸収率を上げる5つの方法を紹介します。
よく噛む
よく噛むことは、吸収率を上げるためにとても重要です。
口の中でよく噛むことで、食べ物が細かくなり、胃に入った時に消化酵素がまんべんなく作用します。
噛むことが不十分な場合、消化されないままの食物が大腸に送られ悪玉菌のえさになることも。
ほかにも、消化不良を起こして腹痛の原因になることもあります。
また、噛むことで交感神経系が刺激を受け、消化管の運動が活発になるので、吸収率を上げるのに役立ちます。
ビタミンB6を一緒に取る
ビタミンB6は、タンパク質の吸収を助ける重要な栄養素です。
タンパク質吸収のために十分なビタミンB6を摂取しましょう。
【ビタミンB6の一日あたりの推奨量(mg)】
男性 | 女性 | |
年齢等 | 推奨量 | 推奨量 |
15~17歳 | 1.5 | 1.3 |
18~29歳 | 1.4 | 1.1 |
30~49歳 | 1.4 | 1.1 |
50~64歳 | 1.4 | 1.1 |
65~74歳 | 1.4 | 1.1 |
75歳以上 | 1.4 | 1.1 |
妊婦(付加量) | +0.2 | |
授乳婦(付加量) | +0.3 |
タンパク質を多く摂取しているアスリートは、ビタミンB6を多めに摂取する必要がありますし、妊婦や授乳婦には付加量が設定されていますので注意が必要です。
次にビタミンB6が多く含まれている食品をご紹介します。
【ビタミンB6の多い食品(食品100gあたりのビタミンB6量)】
食品名 | ビタミンB6(mg) |
まぐろ赤身(みなみまぐろ) | 1.08 |
かつお | 0.76 |
ニンニク(生) | 1.53 |
ドライトマト | 0.95 |
鶏ささみ | 0.64 |
豚ヒレ肉 | 0.76 |
しろさけ | 0.64 |
バナナ | 0.38 |
ごはん(玄米) | 0.21 |
ビタミンB6は、赤身の魚や脂肪の少ない肉類などに多く含まれています。
また、ビタミンB6の不足は、単独では起こりにくく、他のビタミンB群が不足した場合に起こることが多いので、バランスの良い食生活を心がけましょう。
食後に休息をとって消化をうながす
食後に横になって休息すると消化をうながします。
子どもの頃、「食べてすぐ寝ると牛になるよ」と言われたことはありませんか。
これは、行儀が悪いことを戒めることわざです。
けれども、消化をうながすためには食後30分くらい横になって休息することはとてもおすすめなのです。
なぜなら、食物を消化するためには大量の血液が必要なのですが、食後すぐに体を動かすと血液が筋肉や脳に流れてしまい消化器官に血液が足りずに吸収率を下げてしまうからです。
ただし、おなかいっぱいで横になって眠ってしまわないように注意しましょう。
眠ると、消化器官の働きが低下し、吸収率が下がります。
(注)糖尿病など病気治療中の方は主治医の指示に従ってください。血糖値のコントロールのため食後の運動が必要な場合もあります。
1度にたくさん摂らずに何回かに分けて摂る
吸収率を上げるために、タンパク質は1度にたくさん摂らずに何回かに分けて摂ることが大切です。
なぜなら、1度に消化・吸収できる量には40~50グラムまでと限度があるからです。
限界量以上を一度に摂っても尿素やアンモニアに分解されて尿として排出されてしまいます。この時に負担がかかってしまい、内蔵疲労を起こす可能性も。
また、小腸で吸収できずに大腸に入ったタンパク質やアミノ酸は悪玉菌のえさになります。
その結果、便が臭くなったり便秘の原因になったりすることも。
黒くてかたいコロコロした便は、タンパク質の摂りすぎが原因の可能性もあります。
タンパク質を1度に大量に摂ってしまうと、吸収率を下げるだけではなく体に大きな負担をかけますので、こまめに分けて摂ることが大切です。
3食バランスよく食べる
タンパク質の吸収を高めるために3食バランスよく食べることが大切です。
いろいろな種類の食品をバランスよく摂取することで、ビタミンB6やビタミンB2、ビタミンCなどタンパク質の吸収や代謝を助ける栄養素を一緒に摂れるからです。
また、いろいろな食材のタンパク質を一緒に摂ることで、アミノ酸のバランスが良くなり吸収率が上がります。
朝・昼の食事ではタンパク質が不足しても、夕食でしっかりとっているので大丈夫とお考えかもしれませんね。
ただ、一度あたりに吸収できる限度もあり、時間間隔があいてしまうと必要な量に対して不足して可能性も。
吸収を高めるためのおすすめの時間・タイミング
タンパク質を効率よく消化・吸収する時間やタイミングがあることをご存じですか。
タンパク質は、いつ食べても同じように吸収するわけではなく、吸収が高まる時間やタイミングがあります。
特におすすめの2つをご紹介します。
朝
1つめは、朝食にタンパク質をとることです。
朝は、夜間の睡眠時に食事をとれていないことから、1日で最もタンパク質が不足している時間です。
不足している状態でのタンパク質摂取は吸収されやすいといえます。
と同時に、タンパク質が胃に入ることで消化酵素の分泌を促し、その他の栄養素の消化・吸収もまた促すことにつながります。
筋肉は絶えず分解と合成を繰り返しており、タンパク質が不足すると合成できずに筋肉が減少する可能性があります。
朝食でしっかりタンパク質をとり、筋合成につなげましょう。
運動後
2つめは、運動後です。
運動後1時間以内は、「ゴールデンタイム」と呼ばれアミノ酸が筋肉に輸送される量が3倍ほどにアップします。
運動するとエネルギーや栄養素を消費し、不足している状態です。
その時にタンパク質を摂取することで吸収されやすくなります。
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まとめ
タンパク質は、私たちの体にとって大切な栄養素です。
不足すると、筋肉量が減り筋力が低下したり、免疫力や抵抗力が弱くなったり、髪の毛や皮膚のつやがなくなったりなど、健康にも美容にも大変大きな影響が出ます。
大切な栄養素であるタンパク質を摂るなら、吸収力を上げたいですね。
今回の記事では、タンパク質の吸収力を上げる秘訣についてご紹介しました。
健康な体づくりのためにぜひ実践してみてくださいね。