現代はストレス社会と言われて久しいですね。
会社での人間関係や仕事でのプレッシャー、通勤時の満員電車によるストレスなど、その例は枚挙に暇がありません。
これらのストレスは、その都度、解消できればよいのですが、うまく発散できず、溜め込んでしまう人も多くいらっしゃることでしょう。
ストレスをそのまま放置しておくと、心身ともに悪影響があり、病気を発症したり、体調を崩してしまう原因となります。
ストレスを上手に発散することは、現代を生きていく上で、必須のスキルと言っても過言ではないでしょう。
では、どうすれば、ストレスを軽減できるのでしょうか。
その一つの方法は、食事を工夫するというものです。
どんなものを摂るとよいのか、ストレスの軽減に一役買うことができるのか、以下で紹介していきます。
現代人が抱えこんでしまいやすいストレス。
この記事を読めば、その解消に役立つ食品について理解することができるでしょう。
ぜひ最後までご覧いただければと思います。
ストレスが体に与える主な影響
ここでは、ストレスが心身に及ぼす主な影響について解説します。
ストレスとは?
医学や心理学の世界では、心や体にかかる外部からの刺激を『ストレッサー』といい、ストレッサーに適用するために、心や体に起こるさまざまな反応を『ストレス反応』と呼びます。
ストレッサーにも種類があり、物理的ストレッサー(暑さや寒さ、騒音など)、化学的ストレッサー(公害物質、薬物、酸素欠乏など)、または心理的・社会的ストレッサー(人間関係や仕事上あるいは家庭の問題)があります。
私たちが普段「ストレス」と呼んでいるものは、心理的・社会的ストレッサーのことを意味することが多いようです。
仕事の上では、業務の量が多すぎたり、高いクオリティのアウトプットが要求されることや、対人関係における調整など、さまざまなことがストレスになることが分かっています。
身体への影響
ストレスは適度な量であれば、高いレベルのアウトプットを出す力にもなりますが、過度なストレスは体を壊す原因となります。
体への影響には次のことがあげられます。
免疫系への影響
強いストレスを受け続けると、自律神経の機能が乱れてしまい、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなってしまいます。
免疫系への影響は、慢性的なストレスによるものだけでなく、一定期間、難しい課題に取り組んだり、寒さや冷たさにしらばく晒されるだけでも、免疫機能の低下が起きることが確認されています。
また、ストレスホルモンの増加により、免疫細胞の機能が低下し、炎症反応が進むこともあるようです。
心血管系への影響
心理的・社会的なストレスは、心臓疾患を発症させたり、悪化させる原因になります。
ストレスがかかると、交感神経の働きが高まり、脈拍が速くなり、血圧が上昇します。
その際に、心臓のポンプの働きが急激に高まります。しかし、それに反して、血管が縮小し、心臓にも血管にも大きな負担となります。
このため、心理的・社会的ストレスがかかることで、心血管系へ悪影響があるのです。
ストレスは血圧を上昇させ、慢性的なストレスは、心血管疾患(高血圧、心臓病)の発症リスクを増加させることもあります。
消化器系への影響
消化器官の働きは、自律神経の働きが大きく関わっています。
ストレスによる刺激は、脳から「副交感神経」を通って胃に伝えられて、過剰な胃酸の分泌を促し、さらに胃の蠕動運動を促します。
一方で、脳を経由して「交感神経」にも伝わり、胃の血管を縮小させ、血流が減少した結果、胃の粘液量が減る原因にもなります。
これらのことにより、慢性的にストレスに晒されると、胃酸の過剰な分泌が起きると同時に、胃の粘液が減少するので、胃に潰瘍や炎症が起こる原因につながるのです。
また、ストレスは腸の運動を変化させ、消化器症状として便秘や下痢なども発症する可能性があります。
睡眠への影響
過剰なストレスは睡眠にも悪影響があります。
睡眠には、2種類あります。
「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」です。
レム睡眠は、脳が活発に働く睡眠で、記憶の整理や定着がおこなわれる睡眠機能です。
また、ノンレム睡眠は大脳を休める深い睡眠で、脳や体の疲労回復がおこなわれる睡眠機能です。
この2種類の睡眠がバランス良く交互に機能することで、健康的な睡眠状態に至ることができます。
ストレスはこれらレム睡眠、ノンレム睡眠に悪影響を与える可能性があります。
また、ストレスが増えると、入眠困難や深い眠りの欠如、寝起き時の不快感などが起こることもあります。
さらに、集中力や注意力を低下させるだけでなく、心身の疲労感を増大させることもあるでしょう。
精神的な影響
ストレスは適度な強度であれば、能力のパフォーマンスを上げることに一役買いますが、過度なストレスは心身に悪影響を及ぼします。
過度なストレスは、うつや大きな不安を感じさせる原因にもなります。
うつは、気分が億劫で何もする気になれない、食事がおいしく感じないなどの症状が見られる状態です。
また不安を感じるというのは、気分が落ち着かない、なんとなく恐れを感じる、というような漠然とした恐怖感を常に覚える状態です。
さらには、集中力の低下や自己肯定感の低下、情緒の不安定さなどを引き起こすトリガーにもなります。
ストレス軽減におすすめの食品7選
心理的・社会的ストレスに見舞われることは、現代を生きる中で避けては通れないでしょう。
そこで、ストレスを軽減する方法があれば、現代社会を生き抜く支えとなることでしょう。
ここでは、ストレスホルモンの分泌を調整したり、リラックスや静寂効果をもたらす栄養素を含んでいる食品をご紹介します。
オメガ-3脂肪酸を含む食品
まず、ストレスを軽減する成分としてあげられるのは、オメガ−3脂肪酸を含む食品です。
オメガ−3脂肪酸とは、魚に多く含まれるDHAやEPA、エゴマや亜麻種子などの植物油に含まれるαリノレン酸などの脂肪酸の総称です。
オメガ-3脂肪酸は脳機能のサポートとストレス軽減に役立ちます。
また、オメガ-3脂肪酸は、不安感情を抑制する効果があることが分かっています。
なので、慢性的なストレス下において、オメガ-3脂肪酸はストレスを軽減する役割を果たします。
オメガ-3脂肪酸の摂取量の目安は、1日に約2g以上です。
1日に2g以上摂取した場合に、抗不安効果があることが認められています。
オメガ-3脂肪酸を多く含む食品としては、サバやイワシなどの青魚やイクラやタラコなどの魚卵、エゴマや亜麻種子などです。
カモミールティー
続いて挙げられるのは、カモミールティーです。
カモミールティーはリラックス効果をもたらすお茶として知られ、気を巡らす効能が期待されます。
それは、カモミールティーに含まれている成分に、アンゲリカ酸エステル類と呼ばれるものがあり、この成分が強い鎮静作用をもたらすからです。
カモミールティーは、そのままお茶として飲まれる場合もありますが、アロマテラピーとして嗅覚から摂取する方法もあります。
グリーンティー
次に挙げられるのは、グリーンティーです。
これはストレスホルモンの抑制に効果的だと言われています。
グリーンティーは、緑茶と勘違いされることが多いのですが、グリーンティーは、抹茶に甘味料を加えた飲み物と認識するのが正しいようです。
身体がストレスに晒されると、ストレスホルモンが分泌されます。
グリーンティーには、ストレスホルモンの分泌を抑制し、ストレスを軽減する働きがあります。
バナナ
ストレス軽減が期待できる食品はバナナです。
バナナは、トリプトファンとビタミンB6が多く含まれています。
トリプトファンは体内でビタミンB6と結びつくと、リラックス効果の高いセロトニンというホルモンが生成されます。
そのため、バナナを摂取することで、ストレスを軽減することが期待できます。
バナナはそのまま食するのもいいですが、栄養価の高い他のフルーツと組み合わせてスムージーとして飲むという方法も有効です。
ヨーグルト
次にあげられるのは、ヨーグルトです。
ヨーグルトは腸内環境を整えてストレスを軽減できます。
なぜ腸内環境がストレス軽減につながるかと言うと、腸内環境と自律神経の活動には密接な関係があるからです。
腸内にプロバイオティクス(善玉菌)が増加することで、腸内環境が整えられると、消化機能が促進され、不安感を和らげます。
この関係は「腸脳相関」と呼ばれています。
ヨーグルトを使ったレシピの例としては、オートミールにかけて食べる方法や、キウイフルーツなど栄養価の高い果物と一緒に摂るなどの例が挙げられます。
ダークチョコレート
次に挙げられる食品としては、ダークチョコレートがあります。
ダークチョコレートとはカカオ含有量が40%以上のチョコレートのことです。
つまり、カカオ含有量が多いチョコレートのことをダークチョコレートと呼びます。
チョコレートには、カカオポリフェノールと呼ばれる成分が含まれています。
このカカオポリフェノールには、血圧低下や老化防止効果がある他、精神的、肉体的活動を活発にする効果があります。
つまり、抗ストレス効果が期待できます。
また、ダークチョコレートには、セロトニンの原料であるトリプトファンが含まれているため、ダークチョコレートを多く摂取することで、リラックス効果を得ることも可能です。
ダークチョコレートを使ったデザート例としては、チョコレートタルト、チョコレートクッキー、チョコレートカップケーキなどが挙げられます。
ナッツ類
最後に挙げられるのは、ナッツ類です。
ナッツ類は、ビタミンBとマグネシウムが多く含まれており、神経を安定させる効果が期待できます。
また、抗ストレスホルモンであるコルチゾールの原料となるビタミンEも多く含まれており、大変栄養価の高い食品となっています。
ナッツを活用したレシピ例としては、いちごやブルーベリーとナッツをはちみつとレモン汁で和えたマリネや、メープルナッツとドライフルーツのフレーバーバター、ミックスナッツとメープルシロップをかけたミックスメープルナッツなどがあります。
その他、ストレス解消法について、こちらの記事にても紹介しています。
あわせてご覧ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ストレスとは何か、ストレスが身体にどのような影響を及ぼすか、ストレスを軽減する食品にはどんなものがあるのかなどについて解説してきました。
この記事のポイントを整理すると、以下の通りとなります。
● 私達が普段「ストレス」と呼んでいるものは、心理的・社会的ストレッサーのことを意味する。
● 過度なストレスは、免疫系や心血管系、睡眠などに悪影響がある。
● ストレスを軽減する食品には、オメガ−3脂肪酸が多く含まれる青魚や、グリーンティー、カモミールティー、ナッツ類などがある。
● 過度なストレスに長期間晒されると体調を崩す原因となるので、ストレスを軽減する食生活を普段から取り入れる必要性がある。
これらの情報が少しでもみなさまのお役に立てば幸いです。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。